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施設長ブログ

ブログ:徒然草・・・ヶ江

■施設長 宗村秀子
2005年、開設と共にデイサービスセンター草ヶ江の施設長となる。
ご利用者さまにもっと良質なサービスを提供できるよう、スタッフと共に日々奮闘中!

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同窓会
2011年7月20日(水)



「同窓会と称して、年に何度か、女学校時代の仲良し四人組で集まるんですよ。

 今回は、昼間の居酒屋さんの一部屋をお借りして、

 ほら、あんまり暑いから、

 ビールでも飲もうっていう不良の会です。」

 

Uさんは、大正15年生まれ。

みなさん、お元気で結構なことだ。

それに、なんて奥ゆかしい。

85歳になってビールを飲むのが不良なら、

私はぜひ、積極的に“不良”でいたいと思う。

 

 

           ******************

 

 

9回デイサービスセンター草ケ江作陶展が終わった。

8日間の開催で結構な人出もあり、

開催回数2ケタを目前に、

だんだんと浸透してきたものと自負している。

 

 

会期中のある日。

今回の作陶展の準備途中でK県へ転居されたSさん姉弟が来福。

会場へお見えになった。

 

さん、来福!の噂を聞きつけ、

会いにみえたのが、Yさん兄弟とMさん夫妻。

みなさん、似たようなご年齢である。

 

「同窓会みたいね!」と、どなたかが仰った。

 

お昼が近くなると、会場にあるカフェで昼食会が始まる。

「ランチにする!」とか、

「うどんでいいや。」とか、

「暑くて食欲が無いから、何にも要らない。」とか、

「…いや、待てよ…。」とか。

ワイワイ賑やかに、そしてゆっくりゆっくり、注文するメニューが決まっていく。

                                                                                                                                                                                                                


遠くから、その様子を眺める。

自由でいいなぁ、と思う。

若いもんの手を借りずに、好きなものを食べ、好きなように過ごす。

 

普段だったら、デイサービス利用時の昼食摂取状況は、ノートに記入される。

完食すれば、

『主食10割、副食10割』、

食べ方が少ないと、

『主食3割、副食4割。

暑さのせいでしょうか、なかなか食が進まなかったようです。』などと、

家族に報告がいくのである。

それはそれで、元気に生きていくための大きな効果はあるのだが、

たまには、こんなのもいいなぁ。…絶対、必要だ!

             
            S
さんがため息をつきつき、おっしゃる。


        「…博多に帰ってきたいわぁ…。

         K県には、たのしみが無いのよ。

         こんな調子じゃ、あと2,3年持つかどうか…」

 

“同級生”の憐みを含んだ8つの眼差しがSさんを見つめる中、

弟さんが口を開かれた。

 

「ばかを言うんじゃないよ、姉さん。

         たのしみなんて、住むところの問題じゃないんだ。

         あと2,3年で死ねるんだったら、それはそれでいいじゃないか。

         人間には『必ず死ぬ』という約束があるんだよ。

         今がどんなに辛くても、
         
そのすべてを感じなくてもよい時が来るんだよ。

         僕は、それを“たのしみ”にしてる。」

 

 

          ****************

 

 

「居酒屋さんも、よく85歳のおばあさん達に 部屋を貸してくれるなぁ、と思うんです。

 だって、いつどうなってもおかしくない年齢なんですもん。

 おまけに、この暑さですし…。

 でも、折角だから、お言葉に甘えてたのしんできます。」

 

         
         大丈夫!大丈夫!

         たとえ、事切れても、大丈夫!

         この季節。

         ビールを飲んでる人たちの声が、あちこちから聞こえる。

         

「ぷはーっ!生き返ったぁー!」

生かされている
2011年6月20日(月)


第9回デイサービスセンター草ケ江作陶展を開催する。

今回の作品展は、『生かされている』と題した。

 

日本は、3月に大震災を経験した。

未曾有の災害。

何をどう考えていいのか、未だにわからずにいる。

 

今回は、当センターの陶芸スラブの焼き物と共に、

「書」「曼荼羅」「木彫」をなさる3名の方々の作品が並ぶ。

言葉にならない、声に出せない、声には出さない思いを作品展に表現したいと思う。

 

 

         *******************

 

 

          お三方の内の一人、Sさんは、実は当センターのご利用者である。

          大正6年のお生まれであるから、当年とって94歳。

          お一人暮らしを謳歌しておられる。

いつもジーンズに、息子さんとお揃いのスニーカーで、若々しい。

 

若々しいのは、その出で立ちだけではない。

動きも、生活も若い。

 

お送りの際は、覚えのある景色になると

「あ。ここで良か。歩いて帰るけん。」と言われる。

でも、そんなときはお隣に座っておられる女性ご利用者から、

「この職員さんたちにも“責任”ってものがあるっちゃけん、

 どこでもここでも降ろされんと!

 黙って家まで送られんしゃい!」と叱られて、

浮かした背中を、またしぶしぶシートにあずけられる。

・・・そんな日々である。

 

 

作品展に向けての準備のさ中、

時間ができたので、木彫作品を借りに行こうと思い立った。

ご自宅にお電話を入れる。

受話器をとられたのは、女性だった。

(おひとり暮らしのはずだが・・・。)

訪問のお約束をして電話を切った。

 

すぐに、スタッフに、若い女の人が出られた!と話すと、

すかさず、「ヘルパーさんでしょう?」と言う。

(…あぁ。…ヘルパーさんね…。)

 

 

          Sさんが木彫を始められたのは、齢80歳も間近のころ。

          動機となったのは、

近くのお寺で中国旅行のお土産の木彫の仏さまを見せられたこと。

 

その仏さま。

何とも妖艶で、右手の指先を口元に当てた上半身を、

ふくよかな腰のあたりで半分ひねって自分に微笑みかけていたのだ、

とおっしゃる。

 

それから、週に2回、篠栗の南蔵院の木彫教室へ通われ、

彫りも彫ったり、約50体。

雄々しい男性の仏さまもおられるが、

女性の仏さまの方が念が入っているように感じられる。

 

 

ご自宅を訪問して、作品をお借りした。


 ―――ところで、お電話に出られた女性はどなたです?

「あぁ。息子の嫁たい。」

 ―――なんだ。そうですか。。。

「なんだ、って何ね?

 これやった、っていうことにしとって。」

と言って、小指を立てられた。

 ―――はいはい。わかりました。

 

 

     ********************

 

 

     「震災のテレビば見とったらさ、

      若か人のいっぱい死んどろうが?

      可哀想かね。

      生きたかったろうに。。。

      こっちはさ、もう十分に生きたもん。

      放っとっても明日には死ぬかもしれんとやけん、

      代われるもんなら代わってやりたか。

      ばってん、仕方のなか。

生かされとるっちゃけんなぁ。」

 

 

作品展は、626日からの開催である。

      

油山観音
2011年5月19日(木)



油山の新緑を楽しむバスハイキング実施中。
雨が降れば、中止。降っていなければ、行く。1ヶ月くらいかけて、参加希望者をお連れできればいいか…くらいののんびりした企画である。

 

 

          ***************

 

 

今日も、良いお天気だ。

参加者は、スタッフを入れて総勢16名。

草香江を出発し、樋井川を遡って行く。

 

「まぁ、緑が目に沁みるわねぇ。」


しかし、油山は、目の前にぼんやり坐っている。

花粉でもない、黄砂でもない、

…光化学スモッグだろうか、とにかく霞んでいるのである。

目に沁みるような鮮やかな緑ではない。


誰も同意ができず、車内がしーんとしてしまった。

 

私は目が悪くて、山もぼーっとしか見えないんです、というと、

ただ「そう…。」と言われた。

毎年毎年、しかも何十年も肌で感じてきた季節の経験が

見えぬものを見せているのかもしれないし、

その言葉は、現実にそぐわなくても、

私たちへの感謝と労いから出ていることもわかっている。

温かな気持ちが、心に沁みる。

 

 

          ***************

 

 

秋には、真っ赤に染まるこの境内も、

今は、みどり一色。

竹とんぼのようなもみじの花も可愛らしい。

 

境内には、雲雀堂と呼ばれるお堂がある。

かの美空ひばりを観音さまにして祀ってあるお堂である。

その前では、美空ひばりの歌が聞けるようになっている。


     百円玉をひとつ入れて、10曲ほどの中から

『川の流れのように』を選ぶ。

頭上に取り付けられたスピーカーから聞こえてくる声は、

まるでご本人が天上で歌ってくださっているようだ。

16名が、天を仰いで無言で聞き入る。

庇をくぐっていく風がやさしい。

 

お堂の隣に『幸福の鐘』と名づけられた大きな鐘が下がって     

いる。
     男性ご利用者といっしょに撞いてみた。


        荘厳な音が響き渡る。


        「おぉ、目が覚めた。」

そう言いながら、目には涙をためておられる。

 

♪知らず知らず歩いてきた、細く長いこのみちィ~♪

 

万感こもごも…。

 



         ―――緑が目に沁みますね―――

 

 

 

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