博愛物語

博愛物語

このページを印刷

博愛物語

博愛物語とは

 

遥か、遠い歳月をさかのぼって……。
無常な終焉しゅうえんでしか迎えることができなかった。
父親との哀傷の永訣わかれが、18歳の心に、ひとつの衝迫おもいを湧き上がらせたのだった。

 

「病んだ人やその家族のための慈愛に満ちた医療施設を創りたい」。
そのおもいから生まれた夢が、まるで湧昇する夏雲のように沸き立ち若い心をおおい尽くすのだった。それが博愛物語の始まりだった。 茫漠ぼうばくとした夢の萌芽に生命いのちの水を注ぎ込んでくれた人々とのかけがえのない邂逅であい。その人々の篤志と天佑てんゆうに恵まれて、大きな渦を描きながら、まるで新しい星が誕生するように博愛会は生まれたのだった。博愛会の誕生とその波瀾はらんに富んだ航跡には、多くの逸話いつわが残された。
博愛物語は喚起する。「夢を持ち続ければ、いつか必ず現実かたち になる」。

この物語は、創設者である博愛グループ会長の那須良昭が、創設の起源とその航跡を辿たど りながら建立の意義とその精神を再思した抒情的な回顧文です。  

“夢”を抱くことの難しい時代、“命”の大切さが希薄となった時代だからこそ、抱き続けた一途いちず おも いとその結実を書きしる すことで伝えたいものがある。
 

「博愛会の原点と創設史を書き残して欲しい」。スタッフの提案で、多くを語ることのない作者が、 彫心鏤骨ちょうしんるこつ の覚悟を以って書き綴ったおもいの伝言です。この先、10年後、20年後、道に迷った時、大きな岐路に遭遇そうぐう した時、立ち戻るべき博愛会創設の揺るぎない原点が見えてくるはず です。

 

目次

序章  起詞~プロローグ

第1章

ある永訣と邂逅

突然、告げられた父親の病名。家族への強い庇護ひご意識が大胆な嘘をかせたのでした。
父親の闘病生活でのさまざまな体験と父親との永訣わかれは、若い心の奥底に鮮烈な影を落とします。
博愛会創設の原点は、遠い歳月を遡った過去あのひにあったのでした。

 

第2章

夢が結実かたちになる

父親との無念の永訣わかれこそが博愛会創設の原点でした。
いだき続けたおもいは、「患者本位の病院を創る」。 往時とうじの口癖でした。
博愛会創設には、父親との永訣わかれから13年の歳月の流れに芳恩の人々との邂逅であいが深く刻まれていました。
「博愛会」命名の逸話と開設までの軌跡を回顧します。

 

 

第3章

夢の試練~増床時代

叶った夢の現実は峻厳しゅんげんなものでした。
資金を始めとするあらゆる資源が欠如する中、幾多の試練が待ち受けていました。
それでも夢の疾駆しっくは、立ち止まることを知らず、無床診療所での出航から僅か5年の間で、19床から70床へ、
そして162床の病院へと・・・、その姿を大きく変貌させてゆくのでした。

 

 

第4章

ウェルネス誕生

父親との永訣わかれによって芽吹いた確乎たるおもいでした。
「病気を早期に発見しなければ……」。
この
おもいを胸に、K市に開設される斬新ざんしんな健診施設への就職を決意します。
その経験がいしずえとなり、博愛会創設から8年の歳月を経て、健診センター「ウエルネス」が大成するのでした。
予防医療と「Wellness」命名に秘められたおもいやその開設までの軌跡を回顧します。

 

第5章

新たな夢に向かって

「このままでは、早晩、博愛会は行き詰る」。
明日への緊要な課題を突き付けられていました。
苦悩の末に下した決断は、常軌を逸した移転の道でした。
この不撓不屈の決断も実現となれば前途遼遠の大計でした。
奇跡の天佑てんゆうにも恵まれ、遂には、老人保健施設を併設しての新築移転が成し遂げられたのでした。
大事業の完成に至るまでの千辛万苦の道程を回顧します。。

 

終章

結詞~エピローグ